自治体による移住者に向けた取り組み

静岡のように求人倍率が平均より高い地方圏でも、転職事情は決して簡単とは言えない。地方創生や地方活性化など、国の謳い文句のようにはなかなか進んでいないと言えるだろう。

そもそも静岡の面積はとても大きく、それに伴ってエリアの格差も大きいのが現状だ。主な自治体としては浜松市や静岡市、富士市などが有名で、中でも浜松市には大手楽器メーカーやオートバイメーカーの工場などがある。

また、みかんやお茶などの栽培が盛んで、マグロやカツオなどを中心にした漁業で生計を立てている人も少なくない。富士山観光をメインにした観光産業でも、訪日外国人の増加を追い風に売上を伸ばしてきた。

このように、多くの産業に可能性を秘めているのが静岡であり、ポテンシャルは十分期待できる。確かに山間部を中心に人口減少傾向が見られるなどの課題はあるが、自治体と民間の力で克服することは十分に可能だろう。

浜松市や静岡市などの一部の自治体では、他県からの移住者増加に向けての取り組みに積極的だ。具体的には、移住者に格安の費用で入居できる住宅を提供したり、引越にかかる費用の一部を負担するといった経済的支援を行っている。

その中でも注目すべきは、みかんやお茶などの栽培産業で働くことを条件に、家族単位で住める住宅を無償提供する思いきった取り組みを実施していることだ。

これなら東京や大阪などの都心部からの移住者の確保、そして栽培産業の活性化にも期待がもてるだろう。